今年の「浅草ロック座」の全10公演を、出演者と各景のキーワードをもとにダイジェストで振り返るシリーズ。最終回は7月結から12月結までの4シリーズです。
■■ Peace Love Rock ■■
[1st season]07/21(木)~08/10(水)[21日間]
【白石美咲・大見はるか・夏木りりか・沙羅/せいの彩葉・雨宮衣織・南まゆ】
[2nd season]08/11(木祝)~08/31(水)[21日間]
【沢村れいか・西園寺瞳・香山蘭・沙羅/清本玲奈・藤咲茉莉花・徳永しおり】
【沢村れいか・西園寺瞳・香山蘭・沙羅/清本玲奈・藤咲茉莉花・徳永しおり】
(1)Heaby Metal Jungle (2)JAWS (3)L&P feat.マントマン (4)Five-Ribbons
(5)Hand Jive Rock/Hand Jive (6)夜鷹 (7)コロバ・ミルクバー/コロヴァ・ミルク・バー
(F)カウボーイスタイル
(5)Hand Jive Rock/Hand Jive (6)夜鷹 (7)コロバ・ミルクバー/コロヴァ・ミルク・バー
(F)カウボーイスタイル
■■ Once Upon a Dream ■■
[1st season]09/01(木)~09/20(火)[20日間]
【みおり舞・川村あいね・桃瀬れな・矢沢ようこ/朝比奈京子・武藤つぐみ・橘咲良】
[2nd season]09/21(水)~10/10(月祝)[20日間]
【白砂ゆの・小室りりか・柏木由紀奈・浜野蘭/misaki・武藤つぐみ・小野寺梨紗】
【白砂ゆの・小室りりか・柏木由紀奈・浜野蘭/misaki・武藤つぐみ・小野寺梨紗】
(1)赤ずきん (2)夏の庭と冬の庭 (3)ラプンツェル (4)青ひげ
(5)白雪姫 (6)星の銀貨 (7)いばら姫
(F)魔女
(5)白雪姫 (6)星の銀貨 (7)いばら姫
(F)魔女
■■ 夢幻 The Tale of Genji ■■
[1st season]10/11(火)~10/31(月)[21日間]
【小野今日子・観月奏・高崎美佳・藤月ちはる/早瀬ありす・大見はるか・伊沢千夏】
[2nd season]11/01(火)~11/20(日)[20日間]
【沙羅・小宮山せりな・広瀬奈々美・藤月ちはる/秋月穂乃果・川菜ひかる・水元ゆうな】
【沙羅・小宮山せりな・広瀬奈々美・藤月ちはる/秋月穂乃果・川菜ひかる・水元ゆうな】
(1)藤壺 (2)空蝉 (3)夕顔 (4)六条御息所 (5)若紫 (6)朧月夜 (7)紫の上
(F)白ドレスにカラフル長布を担いで
(F)白ドレスにカラフル長布を担いで
■■ SWING TIME ■■
[1st season]11/21(月)~12/10(土)[20日間]
【鈴木千里・夏木りりか・沢村れいか・藤咲茉莉花/白石美咲・須王愛・徳永しおり】
[2nd season]12/11(日)~12/30(金)[20日間]
【白砂ゆの・藤咲茉莉花・安田志穂・灘ジュン/白石美咲・雨宮衣織・橘咲良】
【白砂ゆの・藤咲茉莉花・安田志穂・灘ジュン/白石美咲・雨宮衣織・橘咲良】
(1)lolipop (2)Chocolate (3)Coffee (4)Tea
(5)Candy Cane (6)Candy BonBon (7)Sugar Plum
(F)“赤備え”での2段フィナーレ
(F)“赤備え”での2段フィナーレ
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今年の「浅草」を象徴するキーワードとして、筆者は「大入り」と「世代交代」を挙げたい。
現在は「有料入場者300人超」で出されている「大入り」。おととし2014(平成26)年は「2回」、去年2015(平成27)年は「3回」にとどまったが、今年は12月27日段階で「45日・49回」という驚異的な回数に達している(2回あった「大入りダブル」を「1日・2回」、1回あった「大入りトリプル」を「1日・3回」と計算)。その半分近くの「20日・24回」は、「上原亜衣引退公演」となった5月公演「The Play Within The Play 1st」で出たものである。数字を見て分かるように、本公演は公演期間の20日間を“完全大入り”で制すという歴史的記録を残すものとなった。
もう一つ、今年の特徴として大きく加速した感の強い「世代交代」。しかし観客として思うところもある。今年の公演の“形の作り方”に無理はなかったか、と。
データを示す。「浅草」の1年間の公演のトリを、長くトリを務めてきた舞姫(本稿では「姐トリ」と称す)と、新たに務めることになった舞姫(同じく「新トリ」)が、それぞれ何公演ずつ務めたかをグラフにしたものである。
2014年には、全18公演のすべてを「姐トリ」に分類される舞姫が務めていた。それが去年には、18公演中「姐トリ」が担当したのは12公演=3分の2になり、「新トリ」が6公演を務める変動が生じ始めた。そして今年は一気に割合が逆転し、19公演中「姐トリ」は7公演にとどまり、「新トリ」が12公演を占めるまでになった。
世代交代は確かに必要であるが、この変化はいかにも急激ではないだろうか。上記変動は取りも直さず、「トリ」のポジションを譲っている「姐トリ」が多く存在することを示している。そしてそのしわ寄せが、出演者の顔ぶれや香盤、ステージクオリティに影響を与えていることはないだろうか。
筆者とて「新トリ」の誕生を忌避するものではない。ただその誕生には、当該公演の出演者も、それ以外の舞姫も、さらに言えば観客も納得の出来る、多くの人に祝福される形が大切ではないかと考える。わずかの気持ちのすれ違いで瓦解する恐れのある、ガラス細工のようなステージだからこそ、極めて慎重に、熟慮に熟慮を重ねて、新たな才能を羽ばたかせる環境を整える必要が、主に劇場側に求められるのではないかと筆者は考えるものである(なお、以上の論考は特定の舞姫を念頭に置いたものではないことをお断りしておく)。
(敬称略)