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Channel: 舞姫たちへの片恋文
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2018年のスト界を振り返る

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 大みそか恒例、2018(平成30)年のスト界のトピックを、筆者の知る狭い範囲ですが振り返ります。

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<“中堅実力派”の引退相次ぐ>
 本コーナーは「一定期間以上ステージを彩り、今年、意向表明の上で引退ないし休業された方々」という“基準”でまとめています。

■引退・休業
 ・01/20[休・蕨]RIKA(蕨・2001)
 ・03/10[休・大和]遠野こころ(東洋・2003)
 ・03/10[休・新宿]木村彩(ロック・2006)
 ・04/30[休・栗橋]RUI(林・2013)
 ・09/10[休・まさ]松本幸奈(フリー・2001)
 ・09/30[引・渋谷]翔田真央(渋谷・2004)→台風による公演短縮で2019年1月頭「渋谷」で再度引退公演
 ・10/10[引・川崎]かんな(ロック・2005)→ブログで事後公表
 ・12/30[引・新宿]夏木りりか(ロック・2006)
 ・12/30[引・池袋]時咲さくら(TS・2012)
 ・12/30[引・浅草]伊沢千夏(ロック・2007)
  (「引退・休業日」[引退/休業・最終出演劇場]「名前(敬称略)」「所属・デビュー年」)

 こうして眺めると今年は、各所属で10年以上活躍を続けてきた“中堅どころ”の“実力派”の方々が去って行かれた年という印象を持ちます。

 このほかにも、特段の意思表示なく、ひっそりとその姿を消して行かれた方々もいらっしゃいます。改めてこれまでの舞台に感謝申し上げるとともに、後をついた舞姫のみなさまに、その志が長く受け継がれていくことを願って止みません。

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<劇場の閉館・閉館予定を巡って動き相次ぐ>
■「広島」営業期間期限“いったん未定”に
 劇場所在地の再開発計画との関係で「閉館」と「営業再開」、そして再び「閉館予定」と、めまぐるしく状況が変化してきた「広島第一劇場」は1月31日(水)、土地開発計画の変更に伴い2018年8月31日までの再度営業延長を公式ホームページで告知しました。さらに3月20日(火)には、土地賃貸借契約の延長に伴い営業期間を「一旦未定」にすることを同じくホームページで告知し、営業が続けられています。しかし再開発計画の動向によっては予断を許さないとの見方もあり、来年も引き続き目が離せない状況が続きそうです。

■“東北最後のスト劇場”「芦ノ牧温泉劇場」が閉館
 「八戸マノン」「仙台ロック」が閉館になった後、東北地方最後のスト劇場として知られるようになった福島県会津若松市の温泉街の劇場「芦ノ牧温泉劇場」が6月30日(土)に惜しまれつつ閉館しました。地元やファン有志によって、劇場跡の建物を「ストリップ博物館」として活用する案も検討されましたが、残念ながら実現には至らず、既に建物は解体されたとの現地実見報告が寄せられています。

■“所属のスクランブル交差点”「デラックス歌舞伎町」来年6月閉館を発表
 新宿に残った2館のうち、さまざまな所属の舞姫が同香盤で出演する“スクランブル交差点”のような機能を果たしてきた「デラックス歌舞伎町」が12月11日(火)、2019年6月30日(日)限りでの閉館を公式ホームページで発表しました。“デラカブ”最後となる12月31日(月)に関東館では唯一“大みそか営業”を行ない、SM興行「ゆくなわくるなわ」を開催したことは、“最後の意地”を見せたように思えます。

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                                                                            (「DX歌舞伎町」ホームページより一部引用)

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<メディアでの放映・掲載相次ぐ>
 去年からメジャー雑誌やテレビなどの各種メディアで、ストが取り上げられる機会が増えてきていますが、今年はその流れがさらに加速した感があります。その主なものをまとめました。

(テレビ)
■CS日本映画専門チャンネル「ストリップ劇場物語」放送(6月1日(金)など放送/6月10日にBSフジで再放送)
 「浅草」5月公演「WONDERLAND 1st」の南まゆさん、武藤つぐみさんに密着取材、舞姫のみならず振付師や制作スタッフなどにも焦点を向け、舞台が作り上げられるまでの知られざる制作過程に迫ったほか、「道後」の温泉場独特のフレンドリーな空気感にも注目するなど、優れたドキュメンタリー番組でした。

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                (CS日本映画専門チャンネル「『ストリップ劇場物語』6月1日放送」より引用)

■NHK総合テレビ「ノーナレ『裸に泣く』」(10月2日(火)放送)
 NHKの地上波テレビで「浅草」や「川崎」などのステージが放送されるという“衝撃作”として大きな話題になりました。番組では香山蘭さんと一人の女性ファンにフォーカスを当てた“同時ドキュメンタリー”の手法で「演じる側」と「観る側」、それぞれからスト舞台にあるものを浮かび上がらせる番組でした。
 余談になりますが、筆者は「浅草」場内で取材スタッフに何度も遭遇しました。あまりの取材回数に一部で疑問の声も聞かれましたが、番組を観て、あれだけ取材に通ったからこそ撮れた瞬間、撮れた登場人物がいたのだと納得した次第です。

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                           (NHK総合「ノーナレ『裸に泣く』」10月2日放送」より引用)

■ネットTV・AbemaTV「給与明細」(10月21日(日)放送)
 牧野れいなさんの舞台やその裏側、さらにファンの方々の「リボン」や「タンバリン」といった応援についても掘り下げる内容で、本音に近いところまで語られた興味深い番組でした。

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                               (AbemaTV「『給与明細』10月21日放送」より引用)


(書籍)
■上野うね著「浅草うねうね食べある記[大衆娯楽&チョイ飲み編]」
 浅草の大人なスポットを漫画で紹介するシリーズの3作目で、「美しいストリップ」と称して浅草ロック座が取り上げられています。浅草の書店では「下町ロケット」を抜いて販売数ベスト1を記録するなど、浅草の街が気になっている層に大きな関心を呼んだようです。

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           (上野うね著「浅草うねうね食べある記[大衆娯楽&チョイ飲み編]」より引用)


(ネット記事)
■現代ストリップを分析した連載記事
 大人の女性向けサイト「messy」で11~12月にかけて4回シリーズで連載された池田録さんのリポートは、現代ストリップをさまざまな角度から分析したレビューとして、2018年の断面をクリアに描き出した好記事でした。




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 各メディアで語られているように、今年は劇場を訪れる観客数がさらに増えたという実感があります。中でも女性客の急増は目を見張るばかりです。こうした客数・客層の変化が、劇場経営の好転や社会的認識の転換につながることを期待する声も聞かれます。関連性は不明ですが、5年連続で今年も一年を通して劇場の摘発事案はなかった一方で、劇場数の減少に歯止めが掛かる見通しはないまま年を越そうとしています。

 一方で東京オリンピック・パラリンピックが「あと1年あまり」に迫り、さらに2025年に大阪での万博開催も決まりました。一大イベントがスト業界に逆風となるのか、それとも“神風”となるのか、来る年はその方向性が見え始める年になるように思います。

 日々のすばらしいステージを拝見させていただきながら、「昭和」に始まり「平成」を経て、新たな時代に入っていく「ストリップ」という文化の魅力をどのように広め、残していけるのか。来る年も考え続けていきたいと思っています。


 今年も一年、拙ブログにお越しいただきありがとうございました。みなさま、どうぞよいお年をお迎えください。

(一部敬称略)

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