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Channel: 舞姫たちへの片恋文
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【浅草】「SYMPHONY 2015 2nd」レビュー

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 「音楽に改めて向き合ってみるチャレンジ」との印象を個人的には持っている「浅草」の“SYMPHONYシリーズ”。その「2015年版・2nd」は、ロング出演の2人に、メンバーチェンジ組で中堅・若手の舞姫が顔を揃えた。中でも注目されるのが、バック景を入れ替えて、若手2人に難景に挑戦させるかのような香盤組み替えが行なわれている点である。5年ぶりの「浅草」出演となる舞姫の活躍とも合わせて、既に中日を迎えようかというタイミングでプンラスにての観劇。


【1景=彩音しゅり/おかえりスナフキン】
群舞での笑顔を浮かべながらの自然体での舞いぶりは、実に彩音らしいステージング。
その後、淡い水色レースミニドレス風ベッド着でソロに移って。音楽のリズムにごく自然に乗ってのダンスや、
彩音らしい口ずさみながらの、伸び伸びとしたベッド前半も「らしさ」を強く感じさせる。
ベッドでは「横開き」のポーズを一つ切り、「スワン」のポーズを決めながら音楽を渡る。
音楽がアップテンポに変わってのベッド後半でも、リズムに乗ってのクイックな動きから、
片肩で支えての「竹とんぼ」のポーズから、前盆狭しと転げ回りながら動いて立ち上がり、
ランニングするように花道に戻ると、さらに戻りの移動盆を追い掛けていくが、
そこに留まらず、本舞台に下りて自由にノンストップに駆け抜ける演じぶりが清々しい。


【2景=翼 裕香/狂言「リクルート御田」】
翼は5年ぶりの「浅草」で、「リクルート」というには、いささかベテランと中堅の組み合わせにはなったが、
その余裕が生み出す「田植え作業」のコミカルさが楽しい。
トリプルダンスが終わると、本舞台奥で黒スーツのみ脱ぎ、白ブラウスと黒スカート姿で花見へと進み、
うつ伏せで場内を見渡しながら、観客とアイコンタクトや口パクであいさつする“律儀さ”も翼らしい。
花道にて後ろ姿で一気にスカートを下ろして前盆へ。

ベッドでは、腰をついてパンストを下ろし、両ひざ立ちでブラウスも脱いでからアンダーを外していく。
「片ひざつき片手差し上げ」や「横開き」から頭を下げていく形への連続ポーズを切り、
「片ひざつき片足前伸ばし両手差し上げ」から「前後開脚」へと進めていく。
ついで、ブラウスに片腕を通すと身体を横に流した姿勢から
「片ひざつき片足振り上げ片手差し上げ」のポーズを決めて立ち上がり、
脱ぎ散らした衣装を集めながら本舞台に戻って立ち姿でまとめる。


【3景=小野今日子/喜多川歌麿「願ひの糸口」】
ロングの小野は相方が代わっての「2nd」へ。もはや余裕綽々の感の小野に、
生真面目さが伝わるしっかりとしたかんなの助演ぶりが心地よい調和を見せる。
「1st」で観劇した際は、
ペアダンス後、いったん暗転してからプロジェクター映像の投映が始まったように記憶しているのだが、
完全暗転を経ずにプロジェクター映像につながるように、紫のバックサスを残すことにしたようである。
確かにこの方が2人の“その後の軌跡”が見えるような想像をくすぐる効果があるように思えた。
ベッドは、その“濃度”をますます高めての“はにぃちゃんワールド”を思う存分、展開し続けている。


【4景=小嶋実花/王女ツァレヴナ 火の鳥】
本景の構成上、極めて重要な役割を担うバックの2人に、
「1st」での香盤組み合わせを変更して若手・中堅を起用、チャレンジを「させた」ようにも思われる群舞。
そのチャレンジに対して必死に食らいつく2人、そしてロングでハードなステージを舞い続ける小嶋、
それぞれの挑戦がまぶしい。
小嶋は、ふと動きを止める瞬間の表情などを細かく作り上げ、王女の風格をたたえた舞いぶりを高めている。
「指先を動かすだけで周りの空気までも動かす」、
その境地にまた一歩近づきつつあるように拝見させて頂いた。


【中休憩】
 「名作劇場」は比較的最近の公演から。
  ■小嶋実花 /2013年 7月公演『IRIE!』より  ……………………………1景“高速ちょうちょ”
  ■彩音しゅり&武藤つぐみ/2011年11月公演『ファンタジア2014』より…3景“「フォー!」メドレー”
  ■かんな  /2014年11月公演『Trick or Treat』より……………………4景“秋の舞”
  ■小野今日子/2014年11月公演『ファンタジア2014』より………………2景“今日子の部屋”
  ■松嶋れいな/2014年 4月公演『SYMPHONY』より ……………………7景“ゾンビの女王”

 公演名で、去年の「Symphony」はフライヤーなどでも「小文字表記」だったのだが、中休憩映像では「大文字表記」になっているのが妙に気になるのは“レポ屋”だからか…。
 「マナームービー」、“盗撮”担当は振り移しでかんなが担当。朗読シリーズは「作・彩音しゅり」の「星は目の前に」。原作が強力すぎて創作が必死に追い掛けているという感じである。映画「赤い靴 RED SHOES」の予告編は、「ちょっとえっちな田植え指導者」の“盆踊り”を除いて新メンバーで上映続行中。


【5景=武藤つぐみ/赤い靴】
冒頭、前盆板付きからの武藤は、白リボンを頭に着けた淡い水色のネグリジェ風ベッド着姿。
両ひざつきで両手を差し上げて祈るところから、運命の「赤い靴」を履き、
「シャチホコ」「横開き」「片ひざつき片手」「I字開脚」「L」「スワン」「3点支持」とポーズを切っていく。
あお向けに寝て胸の上に手を組んだ姿で音楽を渡り、
ついで腰をついて両足を浮かせ、後ろに倒れて両手、両足を差し上げる形を経て、両足を交錯。
さらに「チューリップ」へと展開してベッド着の裾を広げて一礼すると、
バレエターンを繰り返しつつ移動盆に乗り、再び花道に下り立って、
バレエステップでの舞を見せて本舞台中央へ。

「運命」に始まる群舞パートでは、無邪気な笑顔でのメリハリをつけた舞姿から、
次第に不安におののいていく表情の変化を、うまく演じてみせている。


【6景=かんな/楊貴妃 霓裳羽衣舞】
長い袖に膨らむ裾、そして何より長い長い白布に翻弄されかねないソロダンス。
かんならしく丁寧に、そしてとても思い切りよく、音を立てる勢いで白布をさばいていく姿が印象的。
本舞台上手で白布を置いた後、中央奥に場所を移してからのわずかなつなぎの間にも、
両手を振る動きをして「あれっ?布がない…」と気づき、
なくした布の代わりに袖を振って遊ぶ、子供のような仕草と表情作りの細やかさには感心させられる。
中央奥で白フリルがついた振袖長襦袢風ベッド着に替え、移動盆でしっとりと大きく舞いつつ進むと、
両手を組み合わせたひざ立ち姿で音楽を渡る。

前盆へと入ってのベッドでは、立ち姿でベッド着を開き、ひざつきに腰を下ろすと、
四つん這いから片ひざ立て、さらに両ひざ立ちの姿勢で静かに進めていく。
両ひざ立ちで両手を組んで差し上げる振りから、
「スワン」や「片ひざつき片足振り上げ片手差し上げ」のポーズを切って立ち上がり、
花道まで戻ると、立ち姿から片ひざをついての手の振りで見せ、「レイバック」を決めると
大きく上体を反らせての片手差し上げで締めくくる。


【7景=松嶋れいな/アメノウズメ 岩戸開き】
「アメノウズメノレイナ」は、アルカイックスマイルを浮かべつつも、
全てを従えるかのような威厳を感じさせる演じぶり。
囲む面々が下がり、高段から下りると、大きな手の振りを見せつつ舞い、
花道で立ち止まりながら悠然とした振る舞いで前盆へと歩み出る。

ベッドでは立ち姿かた片ひざをついて両手を旋回させていき、
「片ひざつき片手」のポーズを切りながら音楽を渡る。
音楽が変わって前盆に横たわると、静かな手の振りから腰をついた片ひざ折りの姿へ、
さらに大きく手を広げてから後ろ手をついてあお向けに体勢を変えていく。
ゆっくり上体を起こし、「スワン」のポーズを決めると立ち上がる。
ついで前盆でアクティブな立ち姿での舞に切り替え、いったん両ひざつきに姿勢を下ろし、
「上げ足上げ手つかみの横開き」のポーズを決めてから立ち上がる。
両手を横に広げながら花道を歩き戻り、移動盆に乗ると片手を差し上げていく立ち姿での形から、
後ろ姿を見せつつ進め、振り向いて片手を差し上げてのポーズを決めるエンディング。


【フィナーレ】
ワルツのリズムに乗せての優雅なフィナーレ。MCは「1st」に引き続いて小嶋が務める。


(敬称略・観劇日:平成27年4月19日(日))

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