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Channel: 舞姫たちへの片恋文
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【浅草】「DESIRE -ディザイア- 2nd」楽日レビュー

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 東日本大震災からちょうど1年となる2012年3月11日、「新宿ニューアート」で一人の新人舞姫がデビューした。その名は「ai」さん。名前の通り愛らしい笑顔を浮かべながらも、危うさすら感じさせる全力投球のダンス、そして妖しさを存分に湛えたベッドと、実に魅力的なステージングで瞬く間に人気者になっていった。
 そして7月には初の「浅草」となる「Sweet MARILYN」5景で、グラビア撮影に臨む女の子をキュートに演じてみせるなど、小さな身体ながら大きな存在感を見せる舞姫へと階段を駆け上がっていった。

 そんな人気絶頂の中の去年12月30日、拙ブログ「【浅草】「ファンタジア2014 2nd」楽日レビュー」でもお伝えしたように、「楽日あいさつ」で表明した「来年3月20日・浅草での引退」は、ファンのみならず年の瀬のスト界に大きな衝撃を与えるものとなった。

 その3月20日が、ついにやってきた。「DESIRE -ディザイア- 2nd」楽日。金曜日の平日にも関わらず、開場待ちの行列は外へと伸び、道路で折れて、それでも収まらずに伸びていく。それを考慮してか、所定開場時刻の10分ほど前にテケツが開いて入場が始まった。ロビーには、aiさんの最終回ではカーテンコールの時間を設けるので、花束等のプレゼントはその時に渡すようにとの張り紙が掲示されている。

 その後も続々と入場が続き、1回目から既にほぼ満席で立ち見も出る場内に。記憶に刻みたい一日をプンラスで見詰めた。


<「じゃんけん大会」編>
 おなじみのテーマ曲とともに珍佐清氏が登場。舞台に出てくるなり「うわっ!すごい人!」と驚いてみせる。「入ってくるなり、良く言えば『熱気』、悪く言えば『男臭さ』を感じます」と、珍氏もややテンション高めのトークを展開。

  ■「浅草」無料招待券×3名
     「パ」→「グ」→「チ」→「パ」→「グ」→「チ」→「パ」→★1名決定
     「チ」→★1名決定
     「グ」→2名直接対決→★1名決定

  ■強制翻訳邦題“紫雨”コラージュポスター(サイン・額縁つき)×1名
     「パ」→「チ」→「パ」→「パ」→「チ」→★1名決定

  ■aiちゃんグッズから「卒業イベントチラシ+進行表」(サイン入り)×1名
     「グ」→「チ」→「パ」→★1名決定

  ■aiちゃんTシャツ(サイン入り)×1名
     「パ」→「グ」→「チ」→「パ」→「チ」→「パ」→「パ」→「チ」→★1名決定

  ■公演ポスター(サイン入り)×1名
     「パ」→「チ」→「グ」→「チ」→「パ」→★1名決定


 最後は明日からの「SYMPHONY 2015」のPRをして締めくくる。が、その後、ややあって再び登場。最終回割引での入場者があまりに多く、入場しきれていないため開演時間を遅らせるとの告知。客席はほぼ満席、立ち見の観客が上手袖から下手袖までぐるりとつながり、後方では二重三重に重なる中、5回目は4分遅れでの開演となった。


<「各景ひとことレビュー」編>
【1景=ai】
いよいよラストとなる一日。しかしその気負いなどを感じさせない、すっきりとした表情が印象的。
その落ち着いた演じぶりは、一つ一つのステージの光景を楽しみながら
記憶に焼き付けようとしているように思えてならないものであった。
1回目から「持つのがやっと」という数の花束が贈られていく。
2回目からは、ラストで花道を戻りながら「I LOVE YOU」のハンドサインも登場。
さらに4回目のベッドでは、上手・下手合わせて「10方向リボン」が舞い、引退ステージに華を添えた。
そしてラストステージとなる5回目。いつも通りに、いや、いつもよりもさらに明るい表情で群舞を舞っていく。
あまりの観客の多さに、後方のロビー扉は開放のままステージが進む。
ベッドでは、3年間の思いを込めるように、一つ一つのポーズを丁寧に切ってみせていく。
それに応えるように、場内から沸き上がるような拍手が鳴り響く。
髪を振り乱しながらの激しい動きを見せて立ち上がり、移動盆に乗ると赤のTシャツを着てから、
花道に舞い戻り、拍手にあおられるようにますます激しく舞っていく。
最後はもちろん、やりきった充実感を示すかのような「I LOVE YOU」のハンドサインを見せながら、
幕の向こうへとその姿を消していった。

その後、督促の手拍子が鳴り響く中、特別に設けられた「カーテンコール」がスタート。
OPでおなじみ、強制翻訳英題“Cherry”とともにaiが飛び出してくる。
後方通路にファンが掲げる「aiさん3年間ありがとう」の横断幕を背景に、
花束を手にした観客が上手、下手通路を埋めて、これまでのステージの労をねぎらっていく。
白石と藤月、さらに真白もヘルプに登場し、贈られた花束を移動盆に移送していくと、
移動盆はたちまち“お花畑”に姿を変える。
花束を手にしたファンの列は途切れることを知らず、OP曲は3度目のリピートに入る中、
最後の花束を担ぐと、片手を突き上げる「ハンズアップ」を見せながら本舞台に下がり、
21時28分、aiは銀幕の向こうへと去って行ったのだった。


【2景=小宮山せりな】
コミカルで楽しい景を、ちょっと口をとがらせるような独特の面立ちを見せながら、
見事に「表情で踊って」みせてくれた。
そして巨大バルーンをブンブンと遠慮することなく振り回す思い切りの良さや、
ベッドの丁寧かつダイナミックな演じ方も、実に小宮山らしいステージングであった。


【3景=藤咲茉莉花】
神秘性、妖艶さ、クールさなど、藤咲の持ち味と
「マタ・ハリ」という景イメージがピタリとマッチしたステージを堪能させて頂いた。
ベッドでも、微笑をたたえながら、ゆったり、じっくりと作り上げていく演じぶりは
さすがの貫禄を感じさせるものであった。
そして最終回、満足感あふれるような見事な笑顔で締めくくってみせたのだった。


【4景=白石美咲】
ロング出演の2人が38日間にわたって深めてきた、すれ違い、重なり合うことのない男女の物語。
その積み重ねの信頼感が、鮮やかに舞台に表出しているように筆者には思われた。
白石のこれまでの役どころにはあまりなかった、抑えた和の佇まいも実に見事な“上げっぷり”を見せ、
「5周年の周年作」にふさわしいものになったと言えるのではないだろうか。


【5景=有沢りさ】
群舞を終えての行きの花道やベッドでの演じぶりのシャープさと、
果敢に攻めるステージングには少なからず驚かされた。
また、立ち上がりから戻りの演技での、妖しく誘うような表情も実に印象的であった。
病気からの復帰公演ということで、一抹の不安を持ちつつ拝見させて頂いた本公演であったが、
それは全くの杞憂に終わったようである。これからもお身体をご自愛の上でのご活躍に期待したい。


【6景=藤月ちはる】
この“抽象舞踏”の景を、たった1人で38日間、190回にわたって持続させ、
高めていかなければならない重圧は、いかばかりであったろうか。
しかし、それを見事にやってのけた藤月の舞台力に、惜しみない拍手を贈りたい。
デビューからまもなく3年。「浅草」でのチャレンジを経るたびに、
ぐんぐんと勢いを増し、深みを加えていくステージングに、引き続き期待していきたい。


【7景=真白希実】
本舞台に立つポールには、38日間の奮闘を物語るかのように、所々に黄色の塗料がはげた跡が見られる。
そのクールで正確無比なダンスは、今公演でも冴え渡っていた。
加えて、トリとして自景のみならず、公演全体を受け止め、まとめ上げてみせる力が
確実に高まっていることを感じさせる演じぶりであったと筆者には感じられた。


<「楽日あいさつ」編>
 ラストフィナーレ。センタートップに立つaiは、さすがに涙を隠せない。オペラ幕が閉まると、早々に鳴り響き始める督促手拍子。再びオペラ幕が開くと、マイクを持つMC、真白が口火を切る。

【真白】
「本日は浅草ロック座3月公演『DESIRE』2nd seasonの千秋楽にご来場頂きまして、誠にありがとうございます。
 無事に本日も大入りと(場内大拍手)。メンバー全員、千秋楽を踊り切ることが出来ました。
 メンバーからあいさつさせて頂きたいと思います。2景のせりなちゃん、お願いします。」

【小宮山】
「2景のポリネーターを担当させて頂きました小宮山せりなです。
 今週は『DESIRE』公演ということで、他の景がシリアスな景が多かったので、
 2景は弾けて笑顔になってもらえるコーナーになればいいなと思って、毎回踊っておりました。
 風船を2回爆発させてしまいましたが、毎日楽しく幸せに踊ることが出来ました。どうもありがとうございます。
 aiちゃん、今日で引退なんですが、aiちゃんから教えて頂いたベッドでの腰振りは、
 私が継承したいと思いますので(場内大拍手)。ベッドで腰振りたいと思いますので、笑わないで観て下さい。
 よろしくお願いします。ありがとうございました。」

【藤咲】
「3景を担当させて頂きました藤咲茉莉花です。20日間、応援ありがとうございました。
 週末というわけでもないのに、こんな大入りが出るくらいに、お客さまがいっぱいで、
 いつもの楽日以上に、あいさつするのがドキドキしちゃいます。
 3景は映像を使った、すごいかっこいい景で、いつも結構“ふわユル”の自分なので、
 こんなかっこいい景の真ん中にいていいのだろうかという気分も若干ありましたが、
 だんだん慣れて、すごく気持ちよくなってきて、とてもすてきな景をやらせて頂いて、とてもうれしいです。
 今週の楽屋はすごく楽しくて、いつもくだらないことばかり言って、みんな毎日笑っていて、
 とても幸せな20日間でした。最後にaiちゃんと一緒に乗れて、よかったです。ありがとうございました。」

【白石】
「4景を担当しました白石美咲です。2月11日から38日間駆け抜けました(場内大拍手)。
 楽しくて楽しくて、本当にあっという間でした。
 今回は5周年作で、大作を与えて頂いて本当にありがとうございます。
 相手役を大好きなちーちゃんにして頂いて、ありがとうございます(涙声に)。
 かわいくて、毎日毎日鼻を膨らませて頑張っていました。それがかわいくて…(涙)。
 相手役に本当に恵まれたと思っています。大入りも3回頂きました。本当にありがとうございます。」

【有沢】
「5景の“金髪ビッチ”を演りました有沢りさです。20日間どうもありがとうございました。
 体調を崩しまして、退院後初の舞台が浅草ということで、かなり最初の方はつらかったんですが、
 とてもすてきなお姐さん方と一緒に乗れて、毎日楽しく無事に乗り切ることが出来ました。
 本当にありがとうございました。偶然入れた『DESIRE』だったんですが、
 ai姐さんの引退にも立ち会わせて頂いて、何かのご縁があったのかなと思っております。
 今日の5回目の2景前にせりな姐さんが、ai姐さんのお客さんたち、
 ションボリしてるかもしれないから、元気出してもらえるように頑張ろうねということで、
 5回目2景を踊りました。元気出して下さい(場内笑)。
 本当に20日間演りきれて、とても幸せです。どうもありがとうございました。」

【藤月】
「6景の“ジキルとハイド”を担当させて頂きました藤月ちはるです。
 2月11日から美咲姐さんと同じく、ロング出演を38日間させて頂きました。
 今週、ai姐さん最後の週なのに、わての景はシリアスすぎる、すごいつらい景で、
 場内の空気もすごい重くしてしまったと思うのですが、38日間一人で、技術のない私にすごい難しい景で(涙)、
 技術もないのに、こんなに難しい、でもすてきな深みのある景をさせて頂けて、
 38日間みなさんが真剣に観て下さって、手拍子とかがなくても人の目で伝わってくるものがあるんだなと、
 毎日毎回感じていました。
 この景は、いろいろ毎日考えて過ごしたんですけど、人間的にも成長出来た気もします。
 詳しい内容はブログに書きますので(場内爆笑)、手短に終わらせたいと思います。
 ai姐さんと最後に一緒に乗れて、いつも隣で楽しくツッコんでくれて、
 本当に今でも最後というのが信じられないから、すごく不思議です…はい、マイクを渡したいと思います。
 38日間、本当にたくさんの拍手をありがとうございました。」

【真白】
「7景の“三文オペラ”を担当させて頂きました真白希実です。
 今週は毎日たくさんのお客さんにご来場頂きまして、
 毎日みんなで気合いを入れて、公演を一生懸命作り上げてきました。
 初日は、ちょっとボロボロだったかもしれないんですけど、
 みんなで毎日確認しながら、少しは成長出来ているかなと思います。
 私の7景は、実はすごく難しくて、なぜなら子分の2人がコミカルすぎて(場内爆笑)、
 笑いを堪えるのに実は必死で、本当はニコニコ笑顔で踊りたいんですけど、
 そうもいかない役だったので、毎日大変でした。
 こんなすてきなメンバーと20日間一緒に過ごすことが出来て、レッスンから約1か月、家族のような感じで、
 和気藹々と、一丸となって、いろいろな思いが詰まった公演となりました。
 aiちゃんのラストにも一緒に舞台に立たせて頂いて、本当に私もすてきな思い出が出来ました。
 3月、毎年乗せて頂いて、本当に毎年すてきな思い出が出来て、私にとってこの月の公演は、
 ストリップの初心に戻れる、かけがえのない月の公演となっているので、
 このすてきな思い出を胸に、これからも頑張っていきたいと思います。
 応援して下さったみなさま、本当にありがとうございました。」

 そしてマイクは1景に返る。

【ai】
「1景を務めさせて頂いたaiです。今日で私のステージは最後になりました。
 最後に大入りを頂いて、大満足です。ありがとうございます。
 引退週、今週こんなに楽しく、泣き虫の私がいつも笑顔でいられたのは、
 このすてきなメンバーのおかげだと思います。私は、お姐さん方が、大好きです。
 そして、毎回楽しくステージが出来たのは、ダンサーさんたちのおかげです。いつも私と遊んで下さって、
 私は、ダンサーさんが大好きです。ありがとうございました。
 そしてみなさん、みなさん、3年間すてきな夢を見させて頂いて、ありがとうございます。
 きっとこの3年間が、aiの人生の中で一番輝いていた3年間だと思います。
 みなさんのおかげで、みなさんが一生懸命応援して下さったから、
 いまこうやって笑顔でステージに立てています。
 何だか、本当にありがとうがいっぱいで、感謝の気持ちをどうやって伝えたらいいかわからないくらいです。
 本当に感謝の気持ちで一杯です。みんなの顔が見えなくなるのが、すごく寂しいです。
 私、一生、一生忘れません。aiはみんなのことが、せーの!」

 (場内声を揃えて) 「大好き!」

「すごい!! aiは、みんなのことが大好きです。3年間…もうこれで本当にさよならです。
 みなさん、3年間お世話になりました。」

 深く一礼するaiさんに、場内から大きな拍手が贈られる。


 真白さんが、aiさんに「三本締め」の音頭を取らせようとするが、「三本締め、わからない!」と断るaiさん。真白さんが引き取って、

【真白】
「本日は、本当に温かい拍手、手拍子、応援してくれて、どうもありがとうございました。
 『DESIRE』2ndの公演を締めさせて頂きたいと思います。
 最後に『三本締め』で締めさせて頂きたいと思います。」

 真白さんの音頭で「三本締め」。そして花道から前盆を回る「アンコールウォーク」。じゃれ合いながら笑顔がこぼれる7人。本舞台に戻ると、aiさんの大きく通る声が響く。

 「みんな、愛してるよーーー!!!」。

 ラストメッセージを残して、オペラ幕が閉じていく。


 真っ直ぐに一生懸命で、先輩舞姫の周年イベントにプライベートで駆けつける情の深さを持ち、すねたり甘えたり、楽しいことが大好きで、多くの舞姫や観客に愛され、多くの舞姫や観客を愛したaiさん。その3年という短くも濃い舞台生活に、23時14分、惜しまれつつピリオドが打たれたのだった。

(敬称略・観劇日:平成27年3月20日(金))

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