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Channel: 舞姫たちへの片恋文
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【浅草】「SYMPHONY 2015 1st」初日レビュー

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 今公演「SYMPHONY 2015」は、去年同時期の「Symphony -シンフォニー-」の続編をうかがわせるタイトルになっている。去年の「Symphony -シンフォニー-」は、ディスニー制作のアニメ作品「Fantasia」をモチーフにした公演であったが、その続編ということは、モチーフ作品の続編「Fantasia 2000」が下敷きになるのか、はたまた去年は小文字の「Symphony」であったものを、あえて大文字の「SYMPHONY 2015」にしていることから、関連性を薄めようとしているのか、など、“係り結び”をはじめとして、さまざまな想像をかき立てる公演タイトルである。

 人気絶頂での引退公演に「大入り」が出た楽日から一夜明けた土曜初日。新公演の初日、1・2回目を観劇。


【1景=空まこと/おかえりスナフキン】
開演前アナウンスは、公演タイトルにちなんでオーケストラのチューニングをBGMに。
本舞台幕が開くと、黄や赤のチューリップ帽子をかぶり、若草色の全身タイツに
首周りと腰に剣先状の飾りを巻いた空を含む5人に、
緑のトンガリ帽子とスモック様のトップスを重ね、横笛を手にした小澤が登場。
清々しい春のメロディに乗せて、小澤の指揮の下、本舞台から花道に並んでの整然とした群舞を展開。
小澤は途中、本舞台中央奥で横笛を吹いたかと思うと、
音楽終わりでは本舞台上手奥で釣りに勤しみ、“赤い靴”をつり上げるというコミカルな演技を見せる。
空が本舞台中央で、水色と黄色の花髪飾りに、淡い水色のフリルつき長袖ベビードール風ベッド着に替えると、
両手を大きく柔らかく振り動かし、時にトリッキーな身体の動きも交えながら本舞台から花道へと舞っていく。
動物たちの鳴き声とシンクロした振りを見せると、前盆へと進み出る。

ベッド前半、腰を下ろして身体を横に流して音楽を渡り、腰をついた姿勢でしなやかな動きを見せると、
さらに四つん這いや腰を下ろした姿勢から、
「片ひざつき片足横伸ばし」などに体勢を入れ替えながら進めていく。
音楽が耳なじみのあるアップテンポのインスト曲に変わってのベッド後半では、
腰をついた姿勢で、ノンストップで動き続けながら「片ひざつき片足振り上げ」のポーズを切って立ち上がる。
両手を大きく広げて一礼すると、羽ばたくように両手を大きく広げながらアップテンポに舞っていくと、
移動盆に乗り、さらに移動盆を下りて花道を行き来しつつ、
大きくアクティブな舞姿を思う存分、展開して締めくくる。


【2景=神谷エリカ/狂言「リクルート御田」】
「浅草」初出演となる新人舞姫・神谷のメイン景。
本舞台銀幕が開くと、高段上に苗が並ぶ中央に、金烏帽子をかぶって頬にピンクの円を着け、
黄色に黒の絣模様の着物に金の袖無し半纏を重ねた、青のもんぺ姿の小野が鍬を振るう。
その前方に、白の開襟ブラウスに黒スーツ、
ネームプレートを首から下げ、頭に田植笠を乗せた神谷と吉沢が登場。
小野扮する爺さまの指示で田植え仕事を始めるが、神谷は目を盗んでの“サボり”に余念がなく、
爺さまも若い女性のヒップが大好きと見えて、触ったり仰向けで覗いたりと“セクハラ行為”に夢中。
遊んでいるようにしか見えない田植えが続くと、
ついには小野爺が吉沢の後ろから胸をわしづかみにし、
吉沢が困惑の表情を浮かべた姿で下手袖にハケていく。
残った神谷が、スーツを脱ぎ、ネームプレートを飛ばし、本舞台前ツラを歩きながらスカートを下ろすと、
白ブラウスを羽織った姿で、花道を歩いて前盆へと進む。

ベッドでは、身体を横たわらせ、ブラウスを脱いで花道へと投げ、
さらにパンストや白アンダー上下を外して、これらも花道へと投げ捨てていく。
腰をついて片足ずつ振り上げて見せる動きなどから、
「3点支持」「片ひざつき片足横流し片手差し上げ」のポーズを切り、
「片ひざつき片足伸ばし片手後ろつき上体反らし」から片足を振り上げていく移行技を見せる。
ついで「片ひざつきでの横開き」のポーズを決めると、両ひざつきで両手を大きく差し広げて立ち上がる。
脱ぎ捨てた衣服を手に本舞台に戻ると下手袖に投げ置き、銀幕前を上手、下手へと展開して見せてから、
音楽終わりのアクセントで、片手を突き上げて決めるエンディングへ。


【3景=小野今日子/喜多川歌麿「願ひの糸口」】
本舞台中央に蚊帳のような白薄布の直方体が吊られ、
そこに万華鏡のように変化する幾何学模様と、
喜多川歌麿の春画が投映されるプロジェクター映像を背景にして、
輝く飾りがついた黒ロングドレスの小野と、黒布を頭にかぶり、黒シャツ、黒パンツ姿の沙羅の2人が、
暗がりの中、紫の照明にうっすら照らされながらのツインダンスを、静かに、しかし力強く舞ってみせる。
音楽終わりから2人で下手に歩き、暗転の中、沙羅が下手袖に引き、逆光照明に“蚊帳”が浮かび上がると、
シルエットを見せつつ小野が衣装チェンジを行ない、
“蚊帳”の上手側から紫シースルーの振袖長襦袢風ベッド着姿で登場。
本舞台上手から中央へと展開し、両手で襟を合わせた姿で一歩ずつ花道を歩むと、
前盆手前で腰を下ろして音楽を渡る。

「白鳥の湖」をアレンジしたインスト曲で前盆へと入ると、
仰向けから横に身体を流した姿で、ゆっくりと大きく動き始め、
四つん這いから、開脚での上体斜め反らし姿勢を作って音楽を渡る。
そのまま前後開脚へと移行し、上体を起こし上げると、
「片ひざつき片足振り上げ上体倒し」のポーズを長い滞空時間で切り続け、
ゆっくり両手を振り動かす動きを見せると立ち上がる。
戻りの移動盆にゆっくりと歩き戻ると、ベッド着を前に着付けた立ち姿からベッド着を下ろし、
両手を大きく振りかぶって決める立ち姿のまま、照明がフェードアウトしていくエンディングへ。


【4景=小嶋実花/王女ツァレヴナ 火の鳥】
本舞台幕が開いたまま小野が下手袖にハケ、小嶋がセンター、沙羅と空が上手側、
ダンサー4人が本舞台高段下手側に駆け込みながらスタンバイする姿がわずかに見えるところからスタート。
シルバーティアラに白のロングドレス姿の小嶋と、白髪飾りに白ロングドレスの沙羅と空、
くすんだシルバーの全身タイツに薄汚れた印象のモノトーンのセパレートを重ね、
黒とシルバーのワイルドテイストなウィッグをつけたダンサー4人が、
圧倒的な振り数と目まぐるしく変わるフォーメーション、次々と入るバレエテクニックを
息もつかせぬスピードで舞っていく、圧巻の群舞を見せていく。
音楽終わりで全員がバッタリと倒れ込み、中央に倒れた小嶋が移動盆で運ばれてくると銀幕が閉まる。
小嶋はゆっくり目を覚ましたように起き上がり、移動盆上でひざつきから立ち上がり、
ドレスに重ねていたビスチェを外すと、白のスリーブレスロングドレス風ベッド着姿で、
後ろ向きで花道へと下り立ち、前盆へと歩み入る。

ベッド前半、立ち姿からベッド着の前を開き、ひざ立ちへと姿勢を下げていくと、
「片ひざつき片足横伸ばし」の姿勢で音楽を渡り、両手を大きくゆっくりと広げながら差し上げていく。
ついで腰を下ろして身体を横に流してから、
ゆっくりと持ち上げていく「横開き」や「スーパーL」のポーズを切ってみせ、
仰向けに倒れて、伸ばした両足を抱えるように起き上がると、
「片ひざつき片ひざ立ち上体反らし両手差し上げ」のポーズを決めて立ち上がる。
ベッド着を大きく広げ流して本舞台へ歩きかけ、ゆっくりと振り返ると一礼してから移動盆へと歩き戻り、
ベッド着の裾を長く引いた立ち姿から振り返ると、「レイバック」を決めて見せる。
起き上がると片手を差し上げてゆっくりと向き直り、
両手を掲げ上げてから振り向いた立ち姿で、銀幕の向こうへと姿を消していく。


【中休憩】
 「名作劇場」では、3年前のかなり懐かしい蔵出し映像が楽しめる。

  ■小嶋実花  /2014年11月公演『ファンタジア2014』より ………7景“銀河鉄道 最終章”
  ■吉沢伊織  /2014年 4月公演『SYMPHONY』より  ……………5景“リトルマーメイド”
  ■空まこと    /2014年10月公演『Trick or Treat』より  …………4景“秋の舞”
  ■小野今日子/2012年10月公演『夢幻 ~Fantasy~』より………4景“キャットウーマン”
  ■沙羅      /2012年 5月公演『All you need is LOVE』より……4景“ニライカナイ”
  ■小澤マリア /2013年 6月公演『celebration』より ………………7景“ジューンブライド”

 「マナームービー」では、出演のたびに“盗撮”担当となる沙羅が、動画で作曲家コラージュの演者7人を撮影。朗読シリーズは、「作・小澤マリア」の「パッパラパー日記」によるグルメリポートが続く。からの~、田植えで場内が盛り上がった後、映画「赤い靴 RED SHOES」の予告編が上映される。


【5景=吉沢伊織/赤い靴】
白フリルが飾る水色ワンピース姿で前盆板付きにて、
腰を下ろしてひざを折り曲げた吉沢の姿が浮かび上がると、
無音のまま傍らに置かれた「赤い靴」に目をやり、静かに履いてから、音楽とともにベッドからスタート。
「横開き」「片ひざつき片手差し上げ」のポーズを切り、両ひざ立ちから「スワン」「シャチホコ」、
仰向けでの両足交錯から「両ひざつき上体反らし片手差し上げ」
「片ひざ曲げ片足後ろ伸ばし片手差し上げ」のポーズを次々と決めて立ち上がる。
片ひざつきで一礼して前盆で一舞した後、ターンを重ねて音楽終わりでの立ち姿でまとめる。
音楽が変わり、前盆から花道でハイテンポながらしなやかに舞うと、
進んできた移動盆に押し出されるように花道前方へ動いてから、移動盆に腰を下ろして戻りつつ、
ひざつきから立ち姿で大きく優雅に舞って本舞台に戻ると、
下手袖から神谷が白ドレスを手にした「道化」に扮して吉沢に近づき、誘うように下手袖へと一緒に引いていく。

その下手袖から、白ハットに、汚れがついた白シャツ、カーキ色のパンツにエプロンをつけた
作業着姿の「靴屋」に扮した小澤が、黒い靴を手に登場。
靴を交互に入れ替えるように動かしながら、下手から中央、さらに奥に下がって下手袖に引く。
すると白の裾広がりロングドレス姿に替えた吉沢が飛び出し、
その奥、小澤を先頭に、不気味な金のマスクをつけた道化3人が現れ、
吉沢を囲み、時に襲いかかるような振りを見せていく。
その中で苦しみに苛まれるように吉沢が舞っていくと、道化のサポートでドレスを脱ぎ、
薄汚れた白ドレス姿に早替わりを見せてから、何者かから逃れようと前盆へと走り出すが引き戻されてしまう。
それを繰り返し、再び道化に囲まれると、音楽終わりでばたりと倒れて、暗転でのエンディングへ。


【6景=沙羅/楊貴妃 霓裳羽衣舞】
銀幕が開くと、銀飾りと桃の花が咲く髪飾りを頭に着け、桃色の中華風ロングドレス姿で登場。
柔らかに舞い始め、下手袖で全長8mほどの白長布を身体の後ろに通して両手で操り、
本舞台から花道にかけて新体操のリボン競技のように波打たせ、ターンで螺旋を描き、
ステップとともに大きく振りかざして魅せる、白布と一体化した舞を披露していく。
音楽が変わると長布を下手袖に置き、本舞台中央でドレスから白レース長襦袢風ベッド着に替え、
襟を身体の前で両手で押さえつつ、移動盆での立ち姿でしっとり優雅に見せながら進む。
片ひざつきの姿勢で音楽を渡ると、移動盆の縁に腰掛け、両足を浮かせた姿から花道に下り立ち、
ゆっくりと前盆へと歩み入る。

ベッド前半、立ち姿からゆっくりと座り、上体を反らした姿勢で静かに進め、
足を横に流して横たわると音楽を渡る。
ベッド後半では、両ひざ立ちで両手を大きく仰ぎ開き、
胸前で合わせてから大きく振りかざして両手を広げるポーズから、
「片ひざつき片足片手振り上げ」や「横開き」のポーズを切ってみせる。
「片ひざつき片ひざ立ち」の姿勢から立ち上がり、ひざを軽く折って一礼すると、
花道まで引いて立ち止まり、袖をすくい上げてゆったりと舞ってから「レイバック」を決め、
本舞台で片手を差し上げる決めポーズでまとめる。


【7景=小澤マリア/アメノウズメ 岩戸開き】
銀幕が開くと、やや前方に出された移動盆が、同じ直径の円い台で2倍の高さにかさ上げされ、
上手、下手の袖から、古代服をイメージさせる衣装の8人が次々と歩み出て、移動盆を囲む。
そこに草の冠に紫の長着、榊を手にした小澤が下手袖から歩み出て台の上に乗り、
8人に囲まれながら厳かな舞姿を見せていく。
やがて紫の長着を脱いで、下に重ねていた白の長着姿に替え、
周囲の8人が手にしたミニシンバルの音が響く中、さらに赤、黄、緑と1枚ずつ脱ぎながら色を変えると、
8人が本舞台高段に並び、細かく刻んだメタリックテープの小片を
手できらびやかに舞い上げる光景を繰り広げて、音楽終わりを華やかに決めてみせる。
8人が上体を折った姿で回りながら下手袖に引くと、小澤は台から下り、緑の長着姿で前盆へと歩み入る。

ベッド前半、片ひざ立ちで両手を振り上げてのゆったりとした舞から、
腰を下ろし、片ひざを立てての手の振りで見せていく。
ついで、両ひざ立ちで両手を大きく振り上げた姿で音楽を渡ると、美しく上体にひねりを加えたひざ立ち姿から、
身体を横に流し、「M字開脚」から腰をついての両足交互の動きで音楽終わりを迎える。
華やかな音楽に切り替えてのベッド後半では、銀幕が開いてミラーボールの光が差し込む中、
「両ひざつき両手振り上げ」から「横開き」のポーズを切り、
腰をついての動きから「片ひざつき片手差し上げ」のポーズを決めて立ち上がる。
戻りの移動盆に乗ると、両ひざ立ちでの「片手差し上げ片手差し伸ばし」を上手向き、下手向きと重ね、
立ち上がると、ひざを軽く折っての一礼で締めくくる。


【フィナーレ】
白の花輪を頭に飾り、シルキーな白ロングドレスに白ロンググローブを着け、
腰から両手首につながる白薄布を渡した姿で、しっとりとあでやかな群舞を展開していく。
メンバー紹介のMCは小嶋。ラストは華やかな「三方礼」でまとめ上げる。


(敬称略・観劇日:平成27年3月21日(土))

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